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ようやく出会えた鞭
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鞭を長い期間つかっていると
鞭の癖が見えてくる

まだ鞭をはじめたての頃は
既製品の鞭を使っていたので
良い鞭に出会うため
いろんなお店に出向き
年間40本近くの鞭を買ってみたが
それでも良いと思える鞭には
1年に1本出会えるかどうかだった。

良い鞭との出会いは少なかったものの
それによって
素材、重さ、編み方の違いなど多くのことが
学べた。
また、鞭にあわせてフォームを変えることも
身につけることができた。

ここにたどりつくまで
すごく時間を費やしたが、ようやく一通りのことを
できるようになった。
そして、初めて自分の鞭をオーダーメイドした。
とっても時間と金額がかかったけど
思い入れの深い鞭が出来たことによって
さらに鞭に対する熱意が湧いてきた。
オリジナルな技なんかにも取り組むようになったのは
この頃かな

難易度の高いものに挑戦するようになるにつれて
自分のフォームの悪癖や乱れが見えてきて
それを矯正することに取り組むようになった。
それと同時に、道具への追求心が少しずつ芽生え始めた。

鞭の重量のバランスと、フォームの関係がなんとなく
見えてきたのはこの頃かな。
そして力を先端に伝える"しなり"というものを
振ることによって感じる事ができるようになれた。
この頃から、力で鞭を振らなくなった。

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そして、さらに軽く理にかなった鞭が欲しくなり
同じ長さでバランスが違うものを
4つずつオーダーメイドした。

メーカーには、
「鞭のことを何も知らないバカな猿が、こんなもの作らせやがって」とさんざんな嫌味を言われ
「料金は前払いで、店の刻印も押さない」
と条件をつけられながらも鞭が仕上がってきた。

確かに使えるものは1つもなかった

でも、それぞれに
なぜ使えないかが理解できので、更に3本
オーダーメイドを追加した。

メーカーもその取り組みと、無駄なオーダーに
嫌気がさしたのが、
「鞭ってのは、手元が重い方が誰でも簡単に触れる。
そして、先端に向けてしだいにしなりをつけてやる事によって力を生むんだよ!!!」ってダメだしと共にオーダーをつき返された。

機嫌を取り戻してもらうために
数回にわたって4つの州を越えてお詫びに行き
時間と誠意とお金で
職人さんの機嫌を取り戻してもらったわけだが

そこで彼は僕に鞭作りの重要なポイントを語ってくれた。

言葉の壁と微妙な感覚を説明するのに
彼は釣竿を用いて僕に説明した。
竿、竿と同じ長さの棒、竿と同じ長さの縄跳び
この先端に1mぐらいの釣り糸と重石をつけて
それぞれを同じ速度で地に向かって縦に振って地面への
衝撃を見せてくれた。

そのおかげで、釣竿のあの形の意味と鞭の原理が基礎からわかった。
そして既製品の鞭がだれでも振りやすく工夫してあることも教えてくれた。

こうして、ようやくオーダーメイドの軽くてしなりのある鞭が完成した。

それから8年そのオーダーを繰り返して
鞭を使ってきたのだが
8年という月日の中で、さらなる欲求が出てくる。

8年ぶりにそれを満たしてくれる鞭が完成した。

今回の鞭は、クラッキングに特化した軽量鞭なのだが
シューティングにも十分対応できるものだ。
距離は限られるものの
クラッキングパフォーマンスの後に
精度の高いシューティングを可能としてくれる。

スタジオの鞭づくりの先生である麗奈が
鞭の振り方を指導したお礼としてプレゼントしてくれた。
長い時間と数度に渡る作り直しを経てとても大変な作業だった。
コアのために軽くバランスの取れた鞭を仕上げ
それを8本の革で更に編みこんでいく。
ここで鞭のシナリにシコリをつけないように
バランスよく編み上げていくのだが、これが難しい。

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これを見ている生徒さんは、スタジオでぜひ一度
この鞭を振ってみてください。
惚れ惚れしますからwww

そして麗奈先生、ありがとうございました。
もう1本仕上がるの楽しみに待ってます。
by kinosuke_otowa | 2007-06-09 12:35 | ディオの日記
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